SUMCO:配属先でも即戦力に!SUMCOの“共通言語”育成研修の裏側


- クライアント
 - 株式会社SUMCO
 - 担当部署
 - ICT推進部
 - 業界
 - 製造
 - 支援内容
 - 新卒者向けプログラミング研修
 - プロジェクト概要
 - 株式会社SUMCOは世界有数のシリコンウェーハ製造メーカーです。同社では、DX化の急速な進展に伴い、新入社員がより高度なICT知識とリテラシーを身に付け、製造現場とプログラマーや外注業者との効果的な連携を図る必要性が高まっていました。特に、依頼部門である製造現場の要件を正確にIT部門に伝達し、プロジェクトを円滑に進めるための技量の向上が求められていました。
そこで同社はAKKODiSの「新卒者向けプログラミング研修」を導入。受講者のレベルに応じた約2カ月半の研修カリキュラムで、プログラミングの基礎からチームでのWebアプリケーション開発まで、段階的な実践型学習に取り組みました。
この研修を通じて、参加者はプログラマーと円滑に意思疎通できる「共通言語」としてのプログラミングの基礎知識を習得しました。またチームで開発演習を行うことで、コロナ禍で希薄になっていた同期同士のコミュニケーションも再び活性化されました。
今回の研修について、早川 裕さま(ICT推進部 課長)、濱田 義明さま(AI推進本部 上席技術主幹)、村上 和正さん(AKKODiSコンサルティング) にお話を伺いました。 
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- 抱えていた課題
 - —新入社員のICT知識・プログラミングスキルに差があり、部門間の円滑な意思疎通が難しい
 - —部署ごとのOJT中心で研修内容にばらつきが生じ、統一的な成長促進が困難
 - —eラーニング中心では実践的スキル習得が不十分で、DX推進に必要な人材育成に課題
 
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- AKKODiSの取り組み
 - —新入社員の経験差に対応できる段階的なカリキュラム(基礎~応用~開発演習)を設計
 - —約2カ月半にわたり、オンラインと対面を組み合わせた研修を実施
 - —チームでのWebアプリ開発演習を通じ、役割分担や発表会など実務に近い学習を提供
 
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- プロジェクトの成果
 - —プログラマーと円滑に会話できる「共通言語」としての基礎知識を習得
 - —開発演習を通じてチームワークや同期間のコミュニケーションが活性化
 - —研修後、質問内容や理解の深まりに変化が見られ、高い学習意欲と成長が確認された
 
 
抱えていた課題
プログラミングスキルやICT知識の向上。DX時代の新入社員教育に課題
―どのような課題を抱えていましたか?
早川さま::DX化の急速な進展に伴い、新入社員のICT知識向上とリテラシーを高める必要があると考えていました。社内でDX推進の動きがあり、IT部門とユーザー部門が会話するシーンが増えてきました。要件定義や設計を行うシーンでの意思疎通の重要性が増してきたのです。
例えば私が所属するICT推進部内の若手社員は、プログラミングスキルがあってもそれをユーザー部門に分かりやすく説明したり、ユーザー部門からの要望を正しくプログラムに落とし込む、あるいは外部のプログラマーに正しく伝えるという部分に課題を感じる場面がありました。一方でIT部門でない若手社員においては、業務知識は豊富でもプログラミングスキルや開発能力が弱い傾向 にあり、自部門が抱えている課題をIT部門や、外部のプログラマーに伝える際に課題を感じる場面があったため、お互いがコミュニケーションを取る際の共通言語として、きちんとした知識を習得できる場を設けたいという思いがありました 。
―課題解決の障壁になっていた要因は?
濱田さま:新入社員は基礎研修を終えると各部署に配属され、OJT中心の研修を受けます。その結果、部署によって研修内容にバラつきが生じ、統一的な成長を促すのが困難という背景がありました。これまでは研修にeラーニングを活用していましたが、プログラミングのような実践的スキルの習得にはあまり相性が良くありません。これらの課題を解決するために、新卒者に向けた対面でのプログラミング研修を実施したいと考えていました。
AKKODiSの取り組み
ICT知識の格差に対応する段階的なカリキュラム設計
―AKKODiSに研修を依頼する決め手となったのは?
早川さま:柔軟にカスタマイズできる研修カリキュラムがあったというのが理由の一つです。プログラミング経験者と未経験者が混在している新入社員たちに、幅広くアプローチできる研修内容が魅力でした。
濱田さま:当社の同僚がAKKODiSのIT部門に行く機会があり、そこで実施されている教育の質の高さを見聞きしてきたことも決め手のひとつでした。単に研修プログラムを提供する会社としてではなく、自社で人材をしっかりと育成し、社外でも活躍できる人材を育てている実績があり、その育成ノウハウとアプローチに強い信頼感を持ちました。このような背景から、AKKODiSの新卒者向けのプログラミング研修の実施に踏み切りました。
―今回実施した研修プログラムについて教えてください。
AKKODiS村上:SUMCOさまのプログラミング研修は、前半はオンラインで、後半は対面で実施しました。期間は約2カ月半です。
まずはお二人から伺った課題感に基づき、受講者のレベルに合わせた段階的なカリキュラムをご提案しました。デジタルリテラシーの基礎学習から始まり、Java基礎などのプログラミング学習を経て、最終的にはシステム開発演習という実践学習へと移行します。各講義を必須科目、推奨科目、任意科目の3カテゴリに分けて実施することで、ICT知識のない方からプログラミング経験者まで幅広く対応できる研修プログラムにしました。
―システム開発演習では何をしましたか?
早川さま:4,5人でチームに分かれ、実際にデータベースを使ったWebアプリケーションを開発しました。具体的には、データベースを用いて名簿のようなものを作成し、参加者の情報を登録・管理できるアプリケーションです。このアプリケーションは、新卒者同士のコミュニケーションを促進したり、部署の人たちに新入社員の情報を共有したりする目的もありました。
濱田さま:チームメンバーには、リーダーや品質管理、スケジュール管理などの役割が割り振られ、実際のシステム開発現場に近い形での学習が行われました。研修の最後には成果発表会として、各チームが開発したプログラムを発表する場を設けました。チームごとに、それぞれが担当した役割に基づいてプロジェクトの成果を発表しました。単にプログラミング技術や知識を学ぶだけでなく、実務に即した開発プロセスを体験し、成果物を完成させられたことも大きな収穫だったと思います。
早川さま:システム開発演習を通して、ソースコードの共有や管理方法などを実践したことで、プログラマーの仕事の流れについても理解が深まったと思います。発表を見ていて、新入社員の成長に驚かされる場面もありました。
プロジェクトの成果
研修で得られたのは「プログラマーとの共通言語」と「チームビルディング効果」
―研修を通して、受講者にどのような変化がありましたか?
早川さま:未経験者もプログラミングの基本的な流れや考え方などの基礎知識を身に付けられたように思います。 研修が進むにつれて、講師に対する質問の仕方にも変化がありました。最初は基本的な質問だったのが、後半になると理解が深まり、さらに掘り下げた質問をするようになってきました。集合研修で実際に手を動かしながら学ぶという立て付けは、非常に効果的だったと感じています。
濱田さま:研修後のアンケートには、「開発の時間がもう少し欲しかった」「もう少し考える時間があれば、より良いものが作れた」といった意見があり、学習意欲の高まりが見られました。このリアクションは、研修に対する高い満足度の表れだと受け止めています。
―当初抱えていた課題は解決しましたか?
早川さま:今回の研修の重要な目的の一つは、プログラミング知識を養うことでプログラマーとの「共通言語」を獲得することでした。 IT部門などの専門部署でなくとも、日常業務において何らかの形でプログラマーとのやり取りが発生するケースは少なくありません。例えば既存システムに新機能を追加したい場合、「プログラマーがどんな情報を求めているのか」「どのように要件定義をすべきか」という基礎知識がなければ、プロジェクトがスムーズに進まない可能性もあります。
この研修を通じて、未経験者であってもプログラマーと目線合わせができるレベルの基礎知識を身に付けられたと感じています。共通言語を得たことでスムーズな意思疎通が可能になり、結果として効率的な業務遂行につながるだろうと期待しています。
濱田さま:今回の研修では、チームビルディングとコミュニケーション面での効果も非常に大きかったと感じています。開発演習では、新入社員が少人数チームに分かれて共同でプログラム開発に取り組むことで、自然と会話が生まれていました。一緒に机を並べて講習を受け、チームでプログラムを作り上げる過程は、彼らにとって価値ある時間だったと思います。
早川さま:通常であれば、このようなコミュニケーション効果をことさら強調する必要はないのですが、新型コロナの影響で同期との交流が断絶された数年間があったので、研修で得られたチームビルディング効果は良い副産物でした。今回肩を並べて研修を受けたことで、各勤務先に配属された後も部門間でのコミュニケーションがとりやすくなったのではないでしょうか。
研修を終えて、これからのビジョンについて教えてください。
早川さま:今回の研修を通して、課題解決の糸口がつかめたと考えています。習得した知識やスキルを基盤に、「誰に聞いたらいいか」「どこを頼ったらいいか」「どこから調べていけばいいのか」という取っ掛かりが見えるようになったように思います。  
今回の研修を経て、課題解決のスタート地点に立てたと感じています。今後は新入社員の配属後も知識を補完できるようなOJT設計や、プログラミングスキルの習得者が後輩を指導できる仕組みづくりにも取り組んでいきたいと考えています。
ICT知識やリテラシーの向上は一度の研修で完結するものではなく、常にアップデートしていく必要があります。そのため今後も継続的に学習環境を整えていきたいですね。
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