次なるAIの波を読み解く──エージェント型システム時代に問われる、人間中心のリーダーシップ
生成AIからエージェント型システムへ。AIの急速な進化は、企業変革のあり方だけでなく、リーダーシップの定義そのものを塗り替えつつあります。本稿では、Akkodis Group AI Officerのジョシュア・モーリー氏の視点を手がかりに、デジタル時代の経営に何が求められているのかを読み解きます。
2026.02.19
人工知能(AI)の進化は、多くの業界が追いつけないほどのスピードで進んでいます。かつては創造的な実験として語られていたAIは、今やデジタルトランスフォーメーションの原動力となり、企業のイノベーション、業務運営、成長戦略そのものを再定義しています。ただし、AI活用の成否を分けるのは、テクノロジーそのものではありません。その鍵を握るのは、常に「人」です。
AIはどこまで来ているのか──三つの進化の波
ここ数年で、私たちはAIによる変革が段階的に進んできたことを実感しています。
・第1の波──生成AI:DALL·EやChatGPTの登場は、AIが文章や画像を生み出し、人と自然に対話できる存在であることを世界中に印象づけました。
・第2の波──AIエージェント:企業は、事前学習済みモデルが単なる生成にとどまらず、タスク実行やコード作成、情報検索といった実務にも活用できることに気づき始めました。
・第3の波──エージェント型システム(Agentic Systems):現在は、複数のAIエージェントが役割分担し、連携して動く段階に入っています。統括役のエージェントが、調査、分析、品質確認といった専門タスクを各エージェントに割り当て、共通の目標に向かって協働します。
こうした相互接続されたエコシステムによって、企業は単なる洞察にとどまらず、実行可能な自動化へと踏み出し、AIの真価を引き出せるようになります。
AI時代に、リーダーが本当に向き合うべきもの
変革を動かすのはテクノロジーですが、それを持続させるのは人です。
AI時代のリーダーシップに必要なのは、高度なアルゴリズムだけではありません。共感力、適応力、そして変化を前向きに受け入れる企業文化が欠かせません。

どれほど優れた技術であっても、最終的に組織に根付かせるのは人の意思と行動です。
先進的なリーダーは、AIは人を置き換える存在ではなく、人の可能性を引き出す存在であると理解しています。反復的な業務を自動化に委ねることで、従業員はより創造的で戦略的、そして意義のある仕事に集中できるようになります。
AI導入がつまずく本当の理由
ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の調査によると、AI導入における課題のうち、データサイエンスやアルゴリズムに起因するものは約10%、基盤インフラに関するものは約20%にすぎません。残る70%は、人、業務プロセス、ポリシーに関わる課題です。
この結果は、AI導入においては、コードや計算処理と同じくらい、チェンジマネジメント(変革管理)に注力する必要があることを示しています。
AKKODiSでは、この考え方をAI導入成功のための「5つの柱」として整理しています。
01.戦略との整合性と経営層のコミットメント
02.ガバナンスおよびリスクマネジメント
03.教育、アップスキリング、リスキリング
04.企業文化への定着とチェンジマネジメント
05.テクノロジー活用のための基盤整備
これら5つの要素がそろうことで、AI変革は一過性ではなく、持続可能で、包摂的かつ価値創出につながる取り組みとなります。
AIは人を脅かすのか、それとも解放するのか
AIの未来を形づくるリーダーは、協働を促し、透明性のあるコミュニケーションを行い、チームに権限を委ねる人です。AIの目的は「人を置き換えることではなく、力を引き出すこと」だと率直に語ることで、組織全体の信頼とエンゲージメントを育みます。

AIの未来を切り拓くのは、協働を呼び込み、透明に語り、チームをエンパワーするリーダーです。
エージェント型AI時代の入り口に立つ今、問われているのは「機械がどこまで賢くなるか」ではありません。AIを人間の進歩の中に、どれだけ賢く組み込めるか。その答えを導くのが、これからのリーダーシップです。
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