複数の大学病院:情報システム開発プロジェクトにて医療データの連携を実現

複数の大学病院:情報システム開発プロジェクトにて医療データの連携を実現

日本の医療現場はDXが遅れていると言われています。その原因はいくつかありますが、電子カルテやシステムの導入・維持にかかる費用が高く、小規模な医療機関にとって負担が大きいこと、紙カルテやFAXなどアナログな情報共有が習慣化していること、医療機関ごとに異なるシステムを導入しているためデータ連携が難しいことなどがあげられます。新型コロナウイルス感染症の流行時に患者情報の収集がスムーズにできず、医療現場の混乱を生む一因になったことは記憶に新しいでしょう。こうした状況の中、政府も「医療DX令和ビジョン2030」を掲げるなど、国をあげて医療DXを推進しようとする動きが見られます。

このように、喫緊の課題として医療業界のDXが求められている昨今ですが、AKKODiSコンサルティングは、10年以上前からこの領域でさまざまな支援を行ってきました。その代表的な事例のひとつに「重粒子線治療情報システム開発プロジェクト」があります。本記事では、AKKODiSコンサルティングがどのようにプロジェクトに取り組み、成果を出し、ひいてはプロジェクトを育ててきたのか、実際の事例を通じてお伝えします。

 

医療情報に関するさまざまな規格を率先してインプット

 

重粒子線治療とは、炭素イオンなどの「重粒子線」をがん細胞に照射する放射線治療のことです。重粒子線を光速の約70%まで加速させて高い線量をがんに集中させる方法で、周辺の正常組織への影響を抑えることができるため、手術が難しいがんや従来の放射線治療に抵抗性があるがんなど、難治がん治療への期待を担っています。

重粒子線治療にはテニスコートほどの大きさの加速器と大規模な施設が必要で、設備投資には数百億円規模の費用がかかります。この費用を回収するためには治療室を効率的に使用することが求められるわけですが、そのためには、治療室の使用状況や患者ごとの治療スケジュールなどを統合的に管理できるシステムが必要です。AKKODiSコンサルティングの黒川良介は、2010年、重粒子線治療における情報システム開発プロジェクトにテックコンサルタントとして参加しました。ただし、当時の黒川は、医療業界での経験が豊富だったわけではありませんでした。

「それまでに携わっていたのは、通信会社の売上管理システムや地図会社の検索システム、遺伝情報の解析(ゲノム創薬)などです。ゲノム創薬が医療に近い分野であることと、長くシステム開発に携わっていたことからアサインされました。このプロジェクトは当初、いくつかの外部ベンダーで機能を分担して開発することになっていて、私たちはシステム間のデータ連携部分を請け負いました」

AKKODiSコンサルティング株式会社Cleantech & Healthcare本部Sustainable Tech第1事業部SS第8G グループマネジャー 黒川 良介
AKKODiSコンサルティング株式会社
Cleantech & Healthcare本部Sustainable Tech第1事業部SS第8G グループマネジャー
黒川 良介

医療情報はその性質上、現場のシステム間で情報をスムーズにやり取りするための規格が厳密に定められています。医療情報交換のための国際的標準基準であるHL7(Health Level Seven)や、医用画像と関連する情報に関する国際標準規格であるDICOM(Digital Imaging and Comunications in Medicine)などがそれにあたりますが、特殊な専門知識であるため、こうした知識を持っているエンジニアはあまりいません。しかもこれらの規格は非常に広範で情報量も膨大であるため、取り扱いが難しいと言われています。実際、このプロジェクトにおいても「最初はほとんどのエンジニアがHL7やDICOMを深掘りしようとしませんでした」と黒川は当時を振り返ります。

「ただ、これらの規格を理解せずにきちんとしたものは作れません。ベンダー間で規約の解釈違いによる認識のズレが生じることもあったので、次第に現場で規約の読み合わせをしたり、発注元のお客さまを交えて話し合ったりするようになりました。私たちは、どうせ関わるならば徹底的に調べたかったので、自分たちで情報を集めるだけでなく、こうしたドメイン知識を持った専門家の方に講師をお願いするなどしてインプットに力を入れました」

これと並行して、プロジェクトに関わるすべてのメンバーが閲覧できる「専門用語集」を作成したこともプロジェクトの進行に役立ったといいます。

「どの案件でも、最初に用語集を作るようにしているんです。プロジェクトが深く進むにつれて用語は増えていくので、その都度、調べたり聞いたりして用語を追加していくんですが、医療関連の規約についてはお客さまも詳しくなかったりするので、この用語集は、お客さまとのコミュニケーションでも非常に役立ちました」

 

現場に泊まり込み、お客さま事業と融合(Fusion)して課題解決へ

 
AKKODiSコンサルティング株式会社Cleantech & Healthcare本部Sustainable Tech第1事業部SS第8G 黒川 良介

重粒子線治療システムはさまざまなシステムとの連携が必要です。しかしプロジェクト発足時、連携が可能かどうかをテストするツールは顧客元にありませんでした。そこで、独自にテストツールを開発、現場に持ち込んで連携させることで工程を進め、その上このテストツールをより広範に使えるように仕上げてお客さまに提案しました。

「テストツールがなくてお客さまが困っている状況が見えてきたんです。提案の結果、正式に導入していただきまして、今でも使っていただいています」

発注通りのソリューションを提供することはもちろん、より本質的な課題を見つけて適切な提案を行い、それを通して事業全体を変革する力を内部から引き起こすーーAKKODiSコンサルティングのテックコンサルタントの特徴は、お客さまの現場と融合し、お客さまが抱える課題を内部から解決できることです。

「初めてシステム同士を繋ぐ時は、想定外のことが頻繁に起こるもの。そうした際に適切な対応を取るためには、正確な情報を取得するために、できるだけ現場にいる必要があります。実際、この時は、2カ月ほど合宿のような形で現場に泊まり込みながら作業していました。思い出深いです」

このように、お客さまの現場に泊まり込みながら開発や保守を続けるうちに、お客さまと直接話ができる関係性が築かれ、その結果、5年後にリプレイスするタイミングではプロジェクトをリードする立場になっていました。

「リプレイス前にも、ちょっとした機能追加をしたり、保守を担当しているベンダーさんに派遣で入って設計のアドバイスをさせていただいたりして関わってはいたんです。また、リプレイスから数年後に他の病院に重粒子線治療施設を導入する際にも、お客さまから指名を受けて設計をやらせていただきました。この病院では現在も、週に1回ではありますが、相談役として定例ミーティングに参加しています」

 

すべての根底にインテグリティ(誠実さ)が

 

エンジニアとして業務にあたりながら、コンサル的目線でお客さまの事業を俯瞰し、現場と融合することで現実的な解決策を提案する。その結果、プロジェクトは成功し、リプレイスで中心的役割を任され、他社に導入する際にも声がかかり、相談役として参加し続けている。2010年から15年間プロジェクトを成長させ続けた黒川のストーリーは、AKKODiSコンサルティングにおいて決して珍しいものではありません。

というのも、AKKODiSコンサルティングのテックコンサルタントには共通する資質があり、それがプロジェクトを成功に導いていると考えられるからです。それは「インテグリティ、つまり誠実さです」と黒川は語ります。

「誠実に、泥臭く、最後まで逃げずに向き合い続けること。インテグリティは弊社の企業理念の根底にあるものです。ほとんどの社員に浸透している姿勢で、少なくともマネージャー層は全員がこうした性質を持っているはずです。日々の業務の細かい部分にもこの性質は現れます。たとえば、作成した資料は初めて見る人にもわかるだろうか、共通言語のない方々にも伝わるだろうか、納期やコストや技術的課題へのアプローチを複数プラン用意できているだろうか……などです」

インテグリティが基盤にあるがゆえに、黒川にとって、多くのエンジニアが避けようとしたHL7やDICOMなどの規格のインプットと理解に率先して取り組むことは、ごく当たり前のことでした。だからこそ、AKKODiSコンサルティングはあらゆる領域で価値提供ができるのだと黒川は主張します。

「AKKODiSコンサルティングのテックコンサルタントはみなインテグリティが高いため、ドメイン知識を自分のものにして未経験分野を得意分野に変える力があります。それでいて、プロジェクト推進力とビジネス力のあるテックコンサルタントが揃っている。しかも、ITだけでなくAI、クラウド、データサイエンスなど、あらゆる領域のエンジニアを揃えることができるんです。ヘルスケア領域を拡大し、医療のDXをさらに推進するためにも、ぜひAKKODiSコンサルティングにお声がけいただければ嬉しいです。私たちは全力で参加させていただきます」

AKKODiSコンサルティング株式会社Cleantech & Healthcare本部Sustainable Tech第1事業部SS第8G グループマネジャー 黒川 良介

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