IOWN GLOBAL FORUM™の進化:構想から実装へ
2026.08.24
前回では、AKKODiSがIOWN構想に取り組む理由と、2024年1月のIOWN推進室設置から約2年間の歩みをお伝えしました。テックコンサルティング企業として、人財開発とユースケース創出の両輪で次世代インフラの社会実装を支援する。この姿勢のもと、AKKODiSは2024年3月からIOWN GLOBAL FORUM™(以下、IOWN GF)に参画し、人財育成を軸に据える唯一のスポンサーメンバーとして活動を続けてきました。
では、その活動の場であるIOWN GFは、いまどのようなステージにあるのでしょうか。2026年3月にスペイン・バルセロナで開催された世界最大級のモバイル関連展示会「MWC Barcelona 2026」では、IOWN GFがこれまで以上に大きな存在感を示しました。会場で見えてきたのは、IOWN®※1が研究開発や実証実験の段階を抜け、社会実装と商用化を見据えた新たなフェーズへと移行しつつある姿です。
※1 Innovative Optical and Wireless Networkの略で、NTT株式会社の商標または登録商標。以下IOWN
【MWC26レポート】進化を続けるIOWN!光電融合と光量子コンピュータでNTTグループが実現する未来の低消費電力社会

IOWN GLOBAL FORUM™の現在地
IOWN構想の実現には、通信技術だけでなく、製造、金融、エネルギー、AI、クラウドサービスなど、さまざまな業界の連携が不可欠です。そのため2020年に設立されたのが、国際的な非営利団体 IOWN GFです。2026年1月時点、170を超える企業・団体が参画しており、通信事業者やITベンダーだけでなく、半導体メーカー、AI関連企業、エンタープライズ各社が結集しています。
設立当初は、将来必要となるネットワークの要件やアーキテクチャの検討が中心でした。しかし2026年現在、フォーラムの活動は明らかに次のフェーズへと移行しています。実証実験で得た成果を実際の社会・ビジネスで活用するための取り組みが加速し、「研究のためのコンソーシアム」から「社会実装を支えるエコシステム」へと姿を変えつつあるのです。
MWC2026で見えた3つのポイント
2026年3月、バルセロナで開催されたMWC2026では、IOWN GFはHall 2に展示ブースを出展しました。あわせて「Beyond Connectivity: From AI Ambition to Infrastructure Reality」と題した半日セッションを実施しました。セッションには170名を超える参加者が集い、展示ブースには約1,100名が訪れ、68カ国・760社を超える企業関係者との接点が生まれました。会場で示された動向を整理すると、3つの大きな転換が見えてきます。
①「PoCから商用化」へのフェーズ移行
これまで実証実験(PoC)段階にあったIOWNが、いよいよ実装・商用化ステージへと移行しています。GPU遠隔利用(GPU Over Optical Network)など、具体的なビジネスユースケースが提示され、「技術の可能性」から「ビジネスの現実」へという転換点が明確に打ち出されました。
②エコシステムのさらなる拡大
AI、半導体、クラウド、エンタープライズなど多様な企業によるユースケースやデモが展示され、IOWNを軸とした共創の広がりが可視化されました。ブース全体からは、業界の垣根を越えた連携が着実に進んでいることが伝わり、IOWNが社会実装を支える産業横断的なエコシステムへと発展していることが強く印象付けられました。
③グローバル標準化の進展(ETSI連携)
欧州標準化機関ETSIとの協力が正式に進展。IOWN GFは、国際標準に影響を与えていく上での転換点を迎えており、AI時代における低消費電力・低遅延のインフラを実現するための、世界共通の設計指針(グローバル・ブループリント)と実装モデルを確立しようという機運が高まっています。
これらは個別の動きではなく、相互に連動しています。商用化が進めば標準化の必要性が高まり、標準化が進めば参画企業が広がる。そしてエコシステムが拡大すれば、より多様な業界での実装が可能になる。MWC2026では、この好循環がすでに動き始めていることが鮮明になりました。
Open APNが描くAI時代の社会基盤
MWC2026における展示の中心となったのが、「Open APN(All-Photonics Network)」です。Open APNは、IOWN GFの活動の中核を担う技術の一つであり、ネットワーク全体を光技術ベースで構成することで、大容量・低遅延・高効率な通信基盤の実現を目指しています。
展示では、Open APNを活用したさまざまなユースケースが紹介されました。金融分野では、異なる都市に配置された金融機関同士が高速にデータを同期させ、リアルタイム性の高いサービスを提供するシナリオが示されました。再生可能エネルギーで稼働する遠隔地のAIデータセンターに設置されたGPUを利用し、AIモデルを開発するケースも紹介されています。製造業では、本社と研究開発拠点を直接接続し、離れた場所の技術者同士が円滑に連携できる未来像が描かれました。
これらは単なる通信の高速化を語る話ではありません。AI時代に求められるのは、データや計算資源がどこに存在していても、あたかも同じ場所にあるかのように活用できるインフラです。Open APNは、その実現を支える基盤として期待されています。
AKKODiSが担う独自の役割
170を超える参画企業・団体の中で、AKKODiSは人財育成を軸に据える唯一のスポンサーメンバーとして、固有の役割を担っています。
通信事業者でも半導体メーカーでもクラウド事業者でもないテックコンサルティング企業がIOWN GFに参画している意義は何か。それは、「技術を担う人」という、エコシステムの中で見過ごされがちな欠落ピースを埋めることにあります。どれほど優れた技術が標準化され、商用化されても、それを理解し、現場で活用し、新たな価値へと結びつける人財がいなければ、社会実装は進みません。
AKKODiSはIOWN GF内で次のような活動を展開しています。
・人財育成コンテンツの開発:IOWNを理解し活用できる人財を育てるためのカリキュラム開発・コンテンツ提供
・ユースケース創出の支援:技術と現場の課題をつなぐ視点で、参画企業の共創を後押し
・Industry Events & Conventions Task Force, Marketing Steering Committeeへの参画:MWC Barcelonaをはじめとする国際カンファレンスを起点とした対話と共創を通じて、IOWNの価値を社会に広げる取り組みを推進
MWC2026では、Open APNの価値を体感できるデモや展示にも参画しました。来場者がネットワーク遅延の違いを体験できる展示や、AI時代の産業モデルを示すジオラマ展示を通じて、IOWNがもたらす未来をより具体的に発信する役割を果たしています。
グローバルなメンバーと議論を重ねる中で、AKKODiSが学んでいることもあります。IOWNの社会実装は、技術の進歩だけでは到達できません。標準化、商用化、エコシステム形成、そして「それを支える人」。この4つすべてがそろって初めて、構想は現実になります。AKKODiSはこの中で「人」を担当するスポンサーメンバーとして、世界のパートナーと連携しながら役割を果たしていきます。
次なるステージへ
MWC2026を通じて見えてきたのは、IOWN GFの活動が明らかに新たな段階に入ったということです。フォーラム全体としては、以下の方向で取り組みが加速しています。
・APNの商用展開加速:実ユースケースの拡充と通信キャリアとの連携推進
・AI・6Gインフラとの融合:低消費電力社会の実現に向けた技術ロードマップの具体化
・国際標準化の推進:ETSIをはじめとするグローバル標準機関との連携強化
・参画企業のビジネス創出支援:PoC段階から商用フェーズへの移行を支える実装サポート
AKKODiSとしても、これらのグローバルな動きと連動しながら、国内外の顧客企業のIOWN活用を推進していきます。グローバルでの標準化動向や商用ユースケースを国内顧客にいち早く届け、IOWN戦略立案における信頼できるアドバイザーとしての役割を強化していく。これがIOWN推進室の次のステージです。
技術がどれほど進化しても、それを社会に届けるのは「人」です。次回は、社会実装を支えるこの「人」に焦点を当て、AKKODiSが2026年にリリースする新しいIOWN関連研修と、ユースケース創出ワークショップについてお伝えします。
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